皆さんは「オーバーツーリズム」という言葉をご存じでしょうか。オーバーツーリズムとは、たくさんの人が観光地に集中することで、地元の生活や環境、そして観光地の魅力そのものに悪影響を及ぼしてしまう現象を指します。

昨年の2024年、日本では円安の影響もあり、訪日外国人旅行者が急増し、約3,700万人が来日して過去最多を更新しました。さらに、政府は2030年までに年間6,000万人の外国人観光客受け入れを目標に掲げており(国土交通省「観光立国推進基本計画」より)、このまま観光客が増えればオーバーツーリズムの問題はさらに深刻化すると考えられます。
「観光地近くの宿泊先が満室で泊まれない」「観光列車やバスの予約が取れない」といった分かりやすい問題に加えて、言葉や文化・風習の違いによるトラブルが今後ますます増えてくると予想されます。

オーバーツーリズムの問題で今年特に注目されたニュースといえば、入山規制中の富士山で救急搬送された直後に「スマホを忘れた」という理由で再び入山し、再度救急搬送された外国人観光客の事例です。私もこのニュースには衝撃を受けましたが、思い起こせば、昭和の日本でも無茶をする人はたくさんいました。このようなトラブルは育った環境や常識の違いによって起きるもので、特別な人が起こすのではないと考えた方がよいでしょう。
このように、多くの人が集まる場所では安全面やマナーのトラブルが増えるのは当然で、ましてや多種多様な人々が集まる人気の観光地では、想定外のトラブルが起きることの方が、むしろ自然なことと考えられます。

とはいえ、トラブルが増えれば住民からの苦情も増えるため、その対処として役所や政府が規制やルールを設けて抑制しようとするのもこれまた自然な流れです。実際、2025年に発足した高市政権では、オーバーツーリズムの影響について本格的な議論が始まり、「量より質」を重視する方針で改革が進められているようです。このような背景を聞くと、日本への旅行に不安を感じる人も少なくないのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが、ベッドや電源などの快適な装備があらかじめ整ったキャンピングカーやキャンパーバンを利用した車中泊での観光です。例えば、Campervan Japan【PR】では、日本各地を快適に車中泊ができるキャンパーバンをレンタルすることができます。車中泊であれば、バスや電車、観光地の混雑、宿泊施設へのチェックイン・チェックアウトの時間、食事の選択など、旅行代理店のプランに縛られることなく、すべて自分で決めた自由な観光を楽むことができます。
しかも、車中泊であれば費用を抑えられるだけでなく、自国の言語が使えるスマートフォンのナビ(Googleマップなど)を使えば、自国でナビを使うのと変わらない感覚で目的地の観光地まで迷わずに案内してもらえます。
本来、日本の「わび・さび」のような魅力は、混雑した有名観光地ではなく、外国人旅行者があまり訪れない場所にこそ多く残っているのですが、車中泊であれば、混雑の少ない観光地を選んで訪れることができます。また、このような観光スタイルは、混雑地域の負担軽減(オーバーツーリズムの緩和)や地方の活性化にもつながるため、政府が掲げる地方創生の方向性とも一致しています。今後、こうした観光スタイルが公的に後押しされる可能性も期待できるでしょう。
とはいえ、現在、日本の車中泊は少しづつブームになりつつあり、マナーの悪化が目立つようになってきました。まだオーバーツーリズムほど深刻ではありませんが、施設レベルでは、ルールが整備されている施設もあるようで、それに基づいた行動規制の動きも出てきているようです。

たとえば、ある人気スポットでは駐車場に「車中泊禁止」の看板が立てられています。この看板はあくまで注意喚起で、法的な強制力はありませんが、「マナーを守らない人のせいで困っている人がいます!だから車中泊を禁止しています。今後も車中泊者の人権を守りたいなら、マナーを守る行動をしなさい!」といった強めのメッセージが込められていることも忘れてはなりません。
もちろん、法的な強制力がないからといって、「車中泊禁止」の看板を設置している場所での車中泊は避けるべきです。とはいえ、こうした看板が立っていない場所であっても、「車中泊してよい」と断言することはできません。いつ看板が設置されるがわからないからです。このように、今まで車中泊できた場所で、これからも安心して車中泊を続けられるかどうかは、私たち一人ひとりのマナーある行動にかかっているのです。
では、具体的にどんな行動が問題となり、私たちはどのような行動をすればよいのでしょうか。

答えはとてもシンプルです。「近隣住民や施設利用者、及び管理者に迷惑をかけないこと」、ただそれだけです。本来、駐車場で静かに車中泊をしているだけなら、誰にも迷惑をかけることはありませんので、誰も困りません。誰も困らなければ誰も文句を言う人はいないのです。
ところが実際には、近隣住民や施設利用者からの文句が出ているのが現状です。原因は、近隣住民や施設利用者と、車中泊者の考え方が異なるため、車中泊者の行動が迷惑と受け取られることがあるからです。その結果、苦情が出て、施設管理者が「車中泊禁止」の看板を設置せざるを得なくなっているのです。
では、どんなことが迷惑と受け取られるのでしょうか。
それは、たとえば車中泊者が「駐車場でエンジンをかけっぱなしにしていること」や「車中泊とキャンプ場やRVパークを混同していること」「ごみについて深く考えないでごみ箱に捨てていること」といった、事前準備が不足していることがほとんどです。

車中泊は一見「自由気ままな旅」のように思われますが、それは2~3日くらいの車中泊に限ったことであって、1週間以上の長期で車中泊を楽しむためには綿密な事前計画と準備が欠かせません。基本的なマナーを理解することもその準備の一環です。準備が整っていれば、施設利用者や近隣住民、施設管理者に迷惑をかけずに、自由な車中泊の旅を楽しむことができるのです。
とはいえ、初めて日本で車中泊をする方にとっては、文化や風習の違いもあり、「どんな準備が必要か」「どんなマナーが求められるか」など、分かりにくい部分も多いでしょう。
そこで今回は、車中泊歴約40年の私が、「車中泊はとても楽しい旅行」という経験をもとに、準備のポイントやマナーを、車中泊の工程や場所ごとにわかりやすく整理してみました。すべてを知る必要はありません。自分の車中泊スタイルに合った部分だけで十分です。ぜひ、車中泊のマナーという準備を身につけて、日本での車中泊旅行を安心して楽しんでいただければうれしいです。
車中泊の一日:まず流れとマナーを知ろう!
まずは、車中泊の一日の流れを整理してみましょう。車中泊のスケジュールは目的によって変わりますが、歯を磨いたり、食事をしたりと、車中泊の目的に関係なく共通する行動パターンがあります。以下では、共通すると考えられる各行動パターンごとに「マナーや計画時のポイント」をまとめました。行動パターンごとのマナーや計画のポイントを押さえることで、実際の車中泊のイメージがつかみやすくなると思います。あくまで私の見解ですが、参考にしていただければうれしいです。
| 行動パターン | マナーや計画時のポイント |
|---|---|
| 朝起きて歯磨き洗顔をする | 施設利用者や管理者からすると、道の駅での歯磨きや洗顔には批判的な意見もあります。施設利用者が来る前(たとえば道の駅であれば、開店は9:00頃が多い)に済ませるようにしましょう。 また、場所によっては「歯磨き・洗顔禁止」と掲示されていることもあります。そういった施設では、歯磨きは行わず、近くの公園や運動公園などに移動して行うようにしましょう。禁止されていない場所でも、歯磨きや洗顔を不快に感じる人は意外と多いです。飛び散った水は拭き取る、といった、立つ鳥後を濁さずの心構えのマナーが大切です。 |
| トイレに行く | 人気の道の駅では、朝のトイレが混み合うことが多く、特に6:30〜8:00頃がピークになります。場所にもよりますが、車中泊者は男性の割合が多いため、男性トイレの方が混雑しがちです。 どうしても混んでいて利用できない場合は、近くの24時間営業のスーパー「MaxValu」やコンビニのトイレを使うのも一つの方法です。また、ホームセンターやジョギングや犬の散歩ができるような公園も比較的早めの時間から営業しているところがあります。 さらに、道の駅や公園のトイレは朝の時間帯(おおむね8:00〜10:00頃)に清掃が行われることが多いです。できれば掃除中の利用は避けたいところです。また、もし清掃スタッフの方と出会ったときは、車中泊者のイメージアップにつながるように、軽くあいさつを心掛けましょう。「おはようございます」と声を掛けるだけで、空気が和らぎ、その日1日、お互いに気持ちよく過ごすことができます。 |
| 朝食を食べる | 車中泊での朝食スタイルは人それぞれですが、大きく「作る」「買う」「食べに行く」の3つに分けられます。どれを選ぶかは、「ゴミの量」と「費用」が1つの判断材料になります。 外食で済ませればゴミは出ませんが、その分、費用がかさみます。コンビニやスーパーで買って食べる場合は比較的安く済む一方で、どうしても包装ゴミが多くなりがちです。なるべく買った場所の駐車場で食べて、施設のごみ箱に捨てるようにしましょう。そして、車内で調理をする方法は、割とゴミが少なく経済的にもコスパがいいでが、そのためには車中で扱える調理器具を用意しておく必要があります。 どのスタイルを選ぶにしても、後で書いている「車中泊中のゴミの捨て方」等を参考に、周囲に配慮した車中泊のマナーを忘れないようにしましょう。 |
| 観光地で観光する | 旅行ツアーと違い、車中泊での観光は自分で計画を立て、自分で車を運転して目的地まで向かう必要があります。そのため、無理のあるスケジュールを組んでしまうと移動ばかりに時間を取られ、観光を十分に楽しめなくなってしまいます。 移動時間は短ければ短いほど観光に割ける時間が増えますが、あまり短くすると行動範囲が狭くなるというデメリットもあります。目安として、自炊をする場合は、移動時間を3時間以内にするのが理想です。調理時間が不要な場合(外食やスーパーなどで購入した弁当を利用する場合)、1〜2時間ほど余裕が生まれるため、移動時間は5時間以内くらいが目安になります。 ただし、覚えておいてほしいのは、この「移動時間」こそが車中泊の最大の楽しみということです。たとえば移動途中で立ち寄る道の駅や産直市場、遊園地、公園、さらには偶然見つけた絶景スポットなど、日本の思わぬ魅力に触れられるのも車中泊ならではの醍醐味です。ゆとりのある移動計画だからこそ、この時間を楽しめるということも忘れないようにしたいですね。 |
| 夕飯(朝食)の買い出しをする | 「作る」「買う」スタイルの車中泊では、夕食や朝食の食材を買い出しに行く必要があります。食材は、スーパー、コンビニエンスストア、道の駅、産直市場、直売所など、さまざまな場所で購入することができます。品揃えは地域によって異なり、その違いも車中泊の楽しみのひとつです。 たとえば、鹿児島県のスーパーでは軟骨や豚足が売られていたり、宮崎県では「にべ」や「くいち」「たちうお」などのお刺身の柵が並んでいたりと、見て回るだけでも楽しめます。 特に、全国に展開するイオンはとても便利です。もしどこのスーパーに行くか迷った場合は、イオンに立ち寄ると安心でしょう。 |
| 温泉に入る | 温泉は車中泊の醍醐味です。「硫黄泉」「メタケイ酸泉」「アルカリ泉」など、日本全国にはさまざまな効能を持つ温泉があり、日帰りで入浴できる施設も全国各地にたくさんあります。車中泊であれば、効能を自分で選んで日帰り温泉施設を楽しむことができます。ただし、観光に力を入れていない地域では、日帰り温泉施設が少ない地域もあります。そんなときは、銭湯やコインシャワー、マンガ喫茶、温水プール、トレーニング室などで体を洗う方法があります。Google Mapで「銭湯」「コインシャワー」などと検索すると見つかります。なお、「温水プール」や「トレーニング室」では石鹸・シャンプーの使用が禁止されている場所もあるため、事前に施設に電話をして確認しておくことが大切です。 全国の日帰り温泉はこちらの検索がおすすめです。 |
| 宿泊先に移動する | 有料の車中泊施設では、施設の利用時間が決められているため、その時間に従う必要がありますが、その他の場所では時間の制約はありません。しかし、注意したいのは道の駅です。基本的に、人気のある道の駅での車中泊はおすすめできません。どうしても人気の道の駅で車中泊をする場合は、混雑する時間帯を避けるようにしましょう。 一般的に、人気の道の駅が混むのは開店(多くは9:00)から16:00頃までです。駐車場では警備員が誘導していることが多く、入り口で渋滞が発生している場合もあります。混雑している駐車場では、リラックスできませんので快適な車中泊は難しくなります。もし、意図せずそうした場所に直面したときは、意識的に時間をずらして別の場所(たとえば近くの公園)へ移動して時間をつぶして、夜の時間(たとえば18:00~翌8:00)だけ利用することをおすすめします。 |
| 夕飯を食べる | 朝食と同様、夕食のスタイルも人それぞれです。大きく分けると、「作る」「買う」「食べに行く」の3つが考えられます。どれを選ぶかは、朝食の場合と同じく、 ゴミの量 と 費用 が判断のポイントになります。 なお、マナーや計画時の注意点などについては、「朝食を食べる」を参考にしてください。 |
| 就寝する | 夜、眠りに落ちる前に聞こえる虫の音。夜中にふとトイレに起きたときに見上げる満天の星空。朝、目覚めた瞬間に目に飛び込んでくる絶景。これらは車中泊ならではの醍醐味です。 そんな就寝時のマナーとしては、音楽を流したり大声で話したりしないなど、騒音を出さないこと。また、アイドリングでエアコンを使って排気ガスや騒音を出し、周囲に迷惑をかけないことも絶対にやってはいけない大切なマナーです。 なお、暑い夏の車中泊を涼しく過ごす方法としては、標高の高い場所を選ぶという手があります。詳しくは、こちらなどを参考にしてください。 |
車中泊できる場所の選び方とマナー
次に、車中泊できる場所を挙げておきます。私が車中泊を始めた40年ほど前は、どこの駐車場も閉鎖されておらず、マナーをあまり気にせず、ほぼどこでも車中泊可能でした。しかし近年の車中泊ブームによって、少数のマナーの悪い人によるトラブルの影響で、車中泊に対する常識が少しずつ変化してきて、車中泊可能な場所が少しづつ減りつつあります。それでも、まだまだ車中泊できる場所はたくさんあります。ご安心ください。
車中泊のマナーは、現在は施設管理者によって決められているのが現状です。そのため、車中泊場所の種類によってマナーが大きく異なります。以下は、各施設の種類の違いよるマナーに関する私の見解です。実際に車中泊をする際の参考にしていただければ幸いです。
| 車中泊場所 | マナー |
|---|---|
| 高速道路のSA/PAの駐車場 | 日本の高速道路のSA・PAで「車中泊禁止」の看板を見かけることはほとんどありません。長距離トラックの運転手が仮眠目的で利用していることも多く、そもそもSA・PAは休憩や仮眠をとるための施設だからです。そのため、一部の利用者によるトラブルがあっても、まず、車中泊禁止の看板を立てることはないでしょう。 ただし、あくまでも「仮眠目的」での利用が前提です。長時間滞在したり、車外に椅子やテーブルを出したりすると、マナー違反とみなされ、施設管理者とトラブルになる可能性があります。こうした行為は絶対に行わないでください。 |
| キャンプ場の駐車場(ほとんど有料・一部無料もある) | 多くのキャンプ場では、駐車場での車中泊が明確に禁止されていません。しかし、近年、車中泊者のマナー違反によるトラブルが増えて一部のキャンプ場では駐車場での車中泊を禁止するケースもあるようです。 たとえば、キャンプ場だからという理由で、駐車場に椅子やテーブルを出してくつろいだり、夜遅くまで大声で騒いだり、場合によっては駐車場で火を使うなどの行為を行う人がいたそうです。特に、駐車場とキャンプサイトが別で、利用料金も別になっているところでは、駐車場だけに滞在されると、経営者からすると収益率が下がりますので「車中泊禁止」にしたくなる気持ちもわかります。 キャンプ場で車中泊を行う際は、事前にルールを確認し、マナー違反は絶対に行わないようにしてください。 全国のキャンプ場探しは、場所や料金で検索できるこちらのサイトが探しやすいです。 |
| RVパークの駐車場(有料) | RVパークは、車中泊を目的に設置された施設で、基本的に車中泊が可能です。ただし、多くの施設では、車外での火気使用やBBQ、テント設営、アイドリングは禁止されています。一方で、車外に椅子やテーブルを出して過ごすことは許可されている場合が多いですが、これは施設ごとの判断により異なります。必ず事前にルールを確認してから利用してください。 |
| ローソン車中泊駐車場(有料) | 以下の千葉県のローソン6店舗で実験的に実施しています。【実施期間】2025年7月14日(月)~2026年6月30日(火)【料金】2,500~3,000円(1回1区画につき) ローソンの駐車場なので、いつでも買い物ができ、無料のWi-Fiも利用できます。YouTubeを見ながらお酒を楽しむ、という過ごし方も良いですね。 【実施店舗名】 ①ローソン一宮東浪見店 ②ローソン御宿新町店 ③ローソン天津小湊店 ④ローソン富浦インター店 ⑤ローソン南房総岩井海岸店 ⑥ローソン富津湊店 ※トイレ貸し出し、ペットOK、電源貸出、ごみ引き取り(1袋)、カード払いのみ |
| 道の駅の駐車場 | 車中泊といえば道の駅と考えてしまうくらい、多くの人が利用しています。しかし、利用者が多いためトラブルも発生しやすく、一部の道の駅では車中泊を禁止しているところもあります。道の駅で車中泊が可能かどうかは、事前に「道の駅〇〇 車中泊」などの検索ワードで調べてから訪れることをおすすめします。 道の駅の検索はこちらのサイトが探しやすいです。 |
| 公園の駐車場 | 道の駅が全国に普及する前までは、かつてのメジャーな車中泊スポットでした。駐車場とトイレが24時間利用できる場所であれば、簡単に車中泊スポットになります。しかし、夜中、暴走族のたまり場になることから、最近では多くの公園が昼間のみ開放(夜間は駐車場の入り口が通行止めになる)となっています。公園が24時間利用できるか、また車中泊が可能かどうかは、事前に「〇〇公園 車中泊」などの検索ワードで調べてから訪れることをおすすめします。 また、車中泊できる公園の検索は、実際に車中泊した方で作られているこちらのサイトが探しやすいです。 |
| 海水浴場の駐車場 | ほとんどの海水浴場の駐車場にはトイレがあり、シーズンオフでもサーファーや近所の方の犬の散歩で利用されることが多いため、年間を通して車中泊できる可能性が高いです。公園の駐車場と違い、海水浴場の駐車場は夜間も利用できる場所が多いですが、7~8月のシーズン中は入場規制や有料になることがほとんどです。海水浴場は、公園として扱われていることもありますが、Google Mapでは公園として表示されない方が多いです。海水浴場の駐車場で車中泊をする人は少なく、ネットでの情報は見つけにくいため、車中泊できるかどうかが分かりにくいのが難点です。ただ、穴場的な車中泊スポットも多く存在しています。 車中泊できる海水浴場の駐車場の検索は、公園の駐車場の検索と同じく実際に車中泊した方で作られているこちらのサイトに登録されている場合があります。 |
| 登山用駐車場 | 登山用の駐車場は、24時間開放されていてトイレがあることが多く、夏場は特に人気があります。そのため、多くの登山用駐車場は道の駅に変わりつつあります。ニーズに応えるため、たとえば標高が高く夏場に有名な美ヶ原高原では、「宿泊のための駐車禁止」の看板が設置されたり、逆に「施設で仮眠していただくことはかまいません」と表記が変わったりするなど、ルールが変わることもあります。以前行って問題なかったからといって、今回も大丈夫とは限らないため、必ず事前に「〇〇 車中泊」などの検索ワードで確認してから訪れることをおすすめします。 登山用駐車場の検索は、公園の駐車場の検索と同じく実際に車中泊した方で作られているこちらのサイトに登録されている場合があります。 |
| トイレ付有料駐車場 | 有料駐車場(たとえばタイムズ等)では、利用約有料駐車場(たとえばタイムズなど)では、利用約款に車中泊についての記載はありません。つまり、車中泊が可能と解釈することもできますし、逆に不可能と考えることもできる、いわゆるグレーゾーンです。 もちろん、管理者に確認すれば間違いなく「駄目」と返ってくるでしょう。駐車場管理者にとって、車中泊にはメリットがないからです。ただし、規約に記載されていない以上、車中泊可能かどうかは、管理者も含めて自己判断の範囲となります。 なお、小さな子どもがいる場合や近隣の目につく行動になる場合は、マナーや安全面の観点から車中泊は避けるのが無難です。 ※以下はタイムズの利用約款の一部抜粋です。 ・当社の承諾なく、タイムズにおいて営業行為を行うことは禁止します。 ・継続して48時間を超えて駐車しないでください ・駐車スペース以外の場所に駐車しないでください ・駐車場が満車の場合等に駐車場内外で「入り待ち」をしないでください。 ・駐車場内での駐車時又は停車時には、エンジンを停止させてください。 駐車場の検索サイトは、こちらのサイトが検索しやすいです。 |
車中泊中のゴミの捨て方とマナー
コンビニやスーパーで買ったお弁当の容器、野菜や果物、お菓子のビニール袋、鼻をかんだ後のティッシュなど、生活していると様々なゴミが出ます。車中泊時に出るゴミをどのように処分するかの問題は、多くの車中泊者が抱えている課題です。日本の車中泊の現状では「ゴミは持ち帰る」というのが基本のスタンスです。とはいえ、長期の車中泊では、家に持ち帰れないため、ゴミが車内にどんどん溜まり、生ゴミであれば臭いが出ますし、かさばります。もし車中泊先に、ゴミを捨てられる場所があるのであれば、できるだけそこで処分しておきたいものです。
✔ ポイント
● できるだけゴミが出ないものを購入する
● ゴミが出る場合は、可能であれば購入した場所で捨てる
以下は、ゴミ箱の設置場所によって異なる「ゴミの処分方法」について、私の考えをまとめたものです。ゴミ箱がどんな目的で置かれているのかを理解すれば、捨ててもよいゴミの違い(たとえば家庭ごみか、そうでないごみか)が自然とわかり、結果としてゴミ捨てのマナーも身につきます。長期の車中泊で実際に現地でゴミを捨てる際の参考にしてください。
| ゴミ箱設置場所 | 目的とマナー |
|---|---|
| レンタカー事業所 | キャンピングカーなど車中泊用の車をレンタルしている事業所では、分別が必要ですが、有料でごみを引き取ってもらえます。たとえば、Campervan Japan【PR】では、缶・ビン・燃えるごみだけでなく、100円ショップやリサイクルショップで購入したような大型ごみでも、1,000円で引き取り可能です。観光先で処分できないごみは、レンタル事業所まで持ち帰って捨てるようにしましょう。なお、車内でごみの臭いを抑えて保管する方法については、こちらのサイトなどを参考にしてください。 |
| コンビニエンスストア | コンビニエンスストアにはごみ箱が設置されていますが、これは店内で購入した商品をその場(駐車場を含む)で飲食した際に出たごみを捨てるためのものです。いったん駐車場を離れてしまうと、そのごみは厳密には「家庭ごみ」と見なされるため、持ち込んで捨てることはマナー違反とみなされます。とはいえ、店舗利用者の少量(20~30cmほどレジ袋に軽く収まる程度)のごみであれば店員に注意されることはほとんど無いでしょう。ただし、地域ごとに分別方法(燃えるごみ、燃えないごみ、プラスチックごみ、など)が異なるため、その地域に合った分別をすることが大切です。 |
| スーパー | スーパーのレジ付近にもごみ箱が設置されていますが、これはコンビニと同じく、店内で購入した商品をその場(駐車場を含む)で飲食した際に出たごみを捨てるためのものです。いったん駐車場を離れると、そのごみは、「家庭ごみ」に変わってしまうため、たとえ前日に同じスーパーで買ったものであっても、別の場所で食べたのであれば厳密にはマナー違反となります。あくまで「当日購入したもの」だけを対象というのが正式なルールになります。 また、食品トレイをレジ横のごみ箱に捨てることも、非常識と感じる人が一定数いるようです。多くのスーパーでは、食品トレイを洗って乾かしたうえで、店頭の回収ボックスに入れる方法を推奨しています。面倒でも一度持ち帰り、食品トレイをティッシュなどできれいにふき取って(排水口を汚さないようにして)から、公園の水道などできれいに洗い、乾かしてからスーパーの回収ボックスに捨てるようにしましょう。なお、食品トレイをリサイクルする方法については、こちらのサイトなどを参考にしてください。 |
| 道の駅 | 以前は、利用者のモラルや道の駅管理者の判断によって、ごみ箱が撤去されるケースが多く見られました。しかし、近年は再びごみ箱を設置する道の駅が増えています。 道の駅のごみ箱は、コンビニやスーパーのごみ箱とは目的が異なり、「仮眠施設として利用した際に出るごみ」を捨てるために設置されています。 つまり、車を運転中の仮眠施設として道の駅を利用し、利用の際に道の駅で食べたお弁当やお菓子の容器などのごみを捨てるために設置されているのです。 ここで注意しなければならないのは、道の駅に到着する前からすでにごみになっているものです。例えば、スーパーの駐車場で食べた弁当の容器などはすでに「家庭ごみ」に分類されます(廃棄物処理法 第3条第1項:どこでごみになったかによって扱いが変わる)。そのため、ごみ箱に「家庭ごみ禁止」と記載されている場合は捨ててはいけない、というルールになります。 詳しくはこちらのサイトなどで確認してください。 |
| 自治体のごみ処理場 | 数は多くありませんが、たとえば九州の日向市(無料)や延岡市(有料)など、一部の自治体では実験的に住民以外(たとえば車中泊者)のごみを受け入れているところがあります。 一方で、成田空港のある成田市(クリーン推進課)では、現時点では住民以外の受け入れは行っていないようです。 こうした「住民以外のごみも受け入れる」という自治体の取り組みは、とても良い流れだと思います。車中泊をする人にとっても、地域住民の方にとってもありがたい試みです。 民主主義の社会では、声の数が多ければ自治体も動きやすくなります。観光地にごみが散乱している現状、車中泊自らごみを焼却場まで持ち込むことを悪いことと考える住民や自治体はいないでしょう。問い合わせが増えれば、柔軟に対応してくれる自治体も増えていくはずです。まずはみんなで「市役所に問い合わせてみること」から始めてみませんか?みんなで声を上げて、より良い車中泊環境を一緒に作っていきましょう。 |
| RVパーク | RVパークは有料施設ですが、施設利用者であれば、指定のごみ袋に入れることで、多くのRVパークでゴミを引き取ってもらえます。ただし、RVパークはキャンプ場ではないため、炭や灰は引き取ってもらえない場合が多いことは、気を付けなければなりません。詳しくはこちらのサイトで確認してください。 |
最後に道の駅の車中泊のマナーをもう一度整理しておこう!
マナーとは、人と人が気持ちよく過ごすための基本的なルールです。「気配り」「思いやり」「配慮」といった行動は、人と人との潤滑油のような役割を果たしてきました。
世の中には車中泊をする人もいますが、車中泊をしない人の方が圧倒的に多く、中には車中泊を快く思わない人もいます。だからこそ、車中泊者は施設管理者や地域の住民の立場に立って行動することが大切です。
道の駅のマナーを管理者の立場で考える
道の駅は国土交通省のもとで設置され、「道路利用者の休憩施設」「地域の魅力発信拠点」「地方創生の拠点」という3つの目的を持ち、委託された事業者(多くは地方自治体)が管理しています。
施設管理者の立場から考えると、これらの目的が達成されている限り、車中泊を禁止する理由はありません。むしろ、ルールやマナーを守って利用する車中泊者は歓迎されるはずです。だからこそ、利用者として今一度マナーを確認しておきましょう。
- 他のドライバーが休めるようにしよう!:駐車場で大声で騒がない。エンジンを長時間かけっぱなしにしない。
- 施設の魅力を妨げないようにしよう!:ゴミを放置しない。テーブルやベンチを勝手に出さない。
- 買い物客の妨げをしないようにしょう!:長時間駐車や騒ぐことは避ける。トイレや洗面所で洗濯や料理はしない。歯磨きは周囲を汚さず短時間で済ませる。汚れたら拭いてきれいにする。
- 夜は静かに過ごそう!:音楽・会話・照明などを駐車場で絶対に使用しない。近隣住民に迷惑をかけない。
私の場合ですが、道の駅で車中泊をする際は、翌朝の開店まで待って、できるだけ多くの地元農産物を購入するようにしています。また、自身の体験をブログやSNSで発信し、「良い利用者の姿」を広めることも、施設管理者に喜んでもらえる行動だと考えています。このように、管理者の立場になって考え続けることそのものが車中泊者のマナーであり、今後も道の駅で車中泊を続けられることに繋がっていくと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本では車中泊が広がりつつあり、マナーの問題も目立ち始めています。円安の影響で外国人旅行者も増え、今後は車中泊をする人がさらに増えるでしょう。これまで通り快適に過ごせるかどうかは、私たち一人ひとりの行動にかかっています。
人が集まればトラブルが起こり、そこからルールが生まれます。一度決まったルールは簡単には変えられません。だからこそ、まだ明確なルールが固まっていない今の段階で意識してマナーを守り、良い方向へつながる行動を心掛けることが大切です。皆で快適な車中泊環境を作っていきましょう。

コメント