キャンプや車中泊の楽しみの一つに、やはり食事は欠かせません。地元のレストランでその土地ならではの味を楽しむのも良いですが、私は毎日自炊をしています。長期滞在になると食費がかさむことも理由の一つですが、外食だと時には期待外れになることもあります。自分で料理をすれば、期待はずれの心配もありませんし、何より地元のおいしい食材を自分好みに調理できる楽しさがあります。
そんな食事に彩りを添えるのが食器です。お気に入りの食器を使うことで、食事が特別な時間に感じられますし、紙皿や紙コップでは味わえない満足感があります。また、長期の車中泊では、ごみを最小限に抑えることがストレスを減らす秘訣でもあります。
しかし、食器を使うと毎日洗う必要があり、水をあまり使えない車内ではその作業が面倒に感じることもあるでしょう。仕方なく紙皿や紙コップを使ってしまう方もいるかもしれません。
そこで今回は、水をあまり使わずに食器を洗う方法をご紹介します。
この方法なら、水をほとんど使わずに食器をきれいにすることができ、ごみもほとんど出ません。もちろん、周りに迷惑をかけることもありません。ぜひ、出発前にこのページを参考にして、洗い物の準備を整えてから車中泊に出かけてください。
必要なもの
【必須アイテム】
- 洗剤薄め液
- すすぎ用の水
- 排水を入れる容器
- アルコール除菌スプレー
- 食器洗いブラシ
- 排水を入れるペットボトル(2リットル)
【あると良いもの】
- 使い捨て手袋
- シリコーンスクレッパー
- ふきん
- ロート(排水をペットボトルに入れるため)
洗剤薄め液:車内ではすすぎの負担を減らすため、原液ではなく、薄めたものを使用します。洗剤にもよりますが、薄める水の割合は、1000倍前後です。洗剤ボトルの裏に「水1Lに対し0.6ml」や「2.5ml」などと記載されています。濃くしすぎるとすすぎに多くの水が必要になるため、なるべく記載通りに薄く作るのがポイントです。
薄め液のデメリットは、雑菌が繁殖しやすくなることですが、きちんとすすぎを行うことでカバーできます。車中泊では、スプレーボトルに薄めた洗剤を作っておくと、使いやすくなります。
すすぎ用の水:洗った後の食器をすすぐための水です。雑菌の繁殖を考えると、毎日交換するのが理想です。公園の水などを利用します。車中泊では、スプレーボトルに入れると使いやすいです。
排水を入れる容器:すすぎの排水を一時的に入れておくための容器です。排水は最終的にペットボトルに移し替えて保管します。ペットボトルに移した後でも多少排水が残りますので、蓋が付いたものを選びます。なるべく幅広いものが使いやすいですが、車内のスペースを考慮して、置く場所に合ったサイズを選ぶことをおすすめします。私の場合、1人分の排水量を100ccほどと見積もって容器を選びました。よろしければ参考にしてください。
アルコール除菌スプレー:使用方法は、洗った後の食器や調理器具にスプレーして乾かすだけです。アルコールによって雑菌やウイルスを除去します。また、揮発性が優れているため、食器や調理器具に残留しにくく、拭き取らなくても乾きやすいです。薬品メーカーの製品よりも、イオンやミスターマックスなどの製品の方がかなりお得です。成分に若干の違いがあるようですが、アルコールの殺菌力に大きな差はないと考えていますので、私は安い方を使っています。
食器洗いブラシ:食器洗いブラシは、スポンジより水捌けが良いのが特徴です。こびり付いた汚れを取るときに使います。硬めのブラシの方がしっかり除去できます。車内のスペースは限られているため、コンパクトで収納しやすいものが便利です。私はseriaで購入したお弁当洗いブラシを使っています。
排水を入れるペットボトル(2リットル):蓋が付いてこぼれないものであればなんでもいいですが、ミネラルウォーターの2リットルの容器がおすすめす。私は、家で使い終わった2リットルの容器を持って行きます。1人だと約2週間でいっぱいになります。
使い捨て手袋:肌が敏感な人は、洗剤やアルコール除菌スプレーを毎日使用すると、手が荒れることがあります。私も最初は手が荒れて困っていましたが、使い捨て手袋を使うようになってからは荒れなくなりました。手袋は使った後に外して捨てるだけなので、狭い車内での後片付けも簡単です。伸び縮みしてフィットするものが作業をしやすいです。100円均一で販売されていて、50枚で100円程度です。
シリコーンスクレッパー:食器に付いた洗剤やすすぎの水をこそげ取るためのアイテムです。100円均一で売られているものは硬すぎて使いにくいため、おすすめできません。少し値段が高くても、柔らかいものを選ぶことをおすすめします。私の一押しは、ジャム取り出し用の『びん用シリコーンスクレッパー(パール金属)』です。ホームセンターのケイヨーデイツーで購入しました。このスクレッパーはシリコン部分が非常に柔らかく、凹凸のある食器でもなめらかに、気持ちよくこそげ取ることができます。使い始めると、きれいにこそげ取ることが楽しくなり、このスクレッパーを使いたくて洗い物をしたくなるほどです。ぜひ持って行ってほしい一品です。
ふきん:100円均一の『かや織りふきん』がおすすめです。100円で2枚入っているもので十分です。『かや織りふきん』は、虫を通さないようにするための蚊帳(かや)に使われる目の粗い薄織物で、奈良時代より前に伝わった日本の伝統工芸です。綿でできていて、かや織を八枚重ねて縫い合わせているため、吸水性が非常に高いのに、通気性もあって乾きやすいのが特徴です。車内ならすぐに乾きますので、生臭さくなることがほとんどありません。洗う回数を減らすことができます。私は、車内でテーブルを拭くためと、最後に食器を拭く、仕上げ用で使っています。
ロート(排水をペットボトルに入れるため):排水容器に入れた排水をペットボトルに移す際に使います。狭い口の部分をペットボトルに入れる必要があるため、購入する際には必ずサイズを確認してください。以前、私は購入したものがペットボトルの口径と合わず入らなかった苦い経験があります。半面教師として、皆さんも注意してください。
洗い方
①洗剤を薄めた液とすすぎ用の水を作ります。洗剤薄め液は、おおよその目安としては1:1000です。(一般的には洗剤裏面の説明欄に記載されています)濃すぎるとすすぎが大変なため、なるべく薄く作るのがポイントです。私は、飲み終えた500mlの強炭酸のペットボトルに100円ショップで買った「霧吹きヘッド」を取り付けて使っています。
②肌が敏感な人は、使い捨て手袋をはめてください。伸び縮みしてフィットするものがおすすめです。
③洗剤薄め液を食器にかけます。洗剤には界面活性剤が含まれており、食器と汚れの間に入り込んで汚れを落とします。勢いよくかけるだけで取れる汚れもありますので、このタイミングでは、食器にまんべんなくかかっていれば十分です。余分な洗剤薄め液の排水しながら行います。
④スプレーだけでは取れない汚れは、食器洗いブラシを使って落とします。このときも、なるべく、すすぎ用の水を使わないようにするため、余分な泡を排水容器に入れながら行います。
シリコーンスクレーパーを使って泡をこそげ取って、食器の泡を減らしておくと、後のすすぎが楽になります。この作業を何度かやると、次第に快感に変わります。
⑤洗い終わった食器にすすぎ用の水をかけます。
シリコーンスクレーパーを使って、食器に付いた水をこそげ取ります。私のようなシリコーンスクレーパー好きには、この作業も、とても気持ちよく感じられます。
⑥食器の水分をティッシュなどで軽く拭き取ります。最後にアルコール除菌スプレーで仕上げますので、このタイミングでは軽く拭き取るだけでかまいません。
⑦ここまでで、かなりきれいになっていますが、念のためアルコール除菌スプレーを食器にかけて仕上げます。
⑧アルコール除菌スプレーは、揮発性が高いためすぐに乾きますが、気になる場合は、ティッシュ等で軽く拭き取ります。
私は、ティッシュをあまり使わないようにするために「かや織りふきん」でふき取っています。アルコールをふき取るだけですので「かや織りふきん」は汚れませんので、洗う必要がありません。
⑨食器洗いブラシを除菌します。
テーブルを拭きます。
⑩最後に、排水容器の排水をペットボトルに入れて保管します。
生活排水は、トイレに流しても理論的には問題ないかもしれません。しかし、施設によっては尿や便以外のものをトイレに流すことに敏感な場合があります。
具体的な理由を確認したわけではありませんが、以前、道の駅のトイレでキャンピングカーの排水が大量に流されて詰まり、尿や便が散らかっている光景を見たことがあります。
また、「このトイレは有機微生物で排泄物を分解しています」と書かれたトイレを見たことがあります。界面活性剤は微生物で分解されますが、時間がかかる上、排泄物を分解する微生物とは種類が異なります。
排水液を持ち帰ることでトラブルを回避できますが、トイレに流すことに寛容な施設もあるかもしれません。流す前に施設のスタッフに確認することで、トラブルを避けやすくなります。
まとめ
今回は、車中泊中にほとんど水を使わずに食器を洗う方法をご紹介しました。
この方法を使えば、楽に食器を洗うことができ、環境にも優しく、ごみも少なくて済みます。また、食器を持って行くことで食事が一層楽しくなり、より快適な車中泊生活を送ることができるでしょう。
この機会に、お気に入りの食器に地元の食材を盛り付けて、車内での食事を自分好みに演出しながら楽しんでください。皆さんの車中泊の旅が、さらに充実したものになることを願っています。
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